おはようございます。太田雄一です。第159回・農業編08「硝酸とカリウムイオン」
農業編08「硝酸とカリウムイオン」
硝酸イオン(NO3–)は植物体内で水素イオン(H+)と結合し硝酸(HNO3)を作ります。先に述べたように雨として降ってくる硫酸イオン(SO4–)もマイナス(-)イオンです。
このイオンも水に溶け植物体内に容易に入り込みます。この硫酸イオン(SO4–)も植物体内で水素イオン(H+)と結合し硫酸(HSO4)となります。
水素イオン(H+)は植物体内には余るほど存在します。それは葉緑体の中で光合成により常時生産されているのです。
光合成メカニズムと次の通りです。
(1)植物は根から吸い上げた水を葉緑体の中でATPにより2H2Oに分解します。ATPはアデノシン三リン酸と言われ私たちの生命の原点エネルギーです。
(2)葉緑体の太陽光が当たることによりこの2H2Oは2つの酸素、4つの水素イオン、そして4つの電子に分けられます。

ここで作られた水素イオン(H+)はミトコンドリアの外壁と内壁の間に存在する分子モーターを動かす原動力となります。これによってATPが作られるのです。(下図を見てください。原理が書かれています。)


そこで使われなかった水素イオンは容易に硝酸イオンや硫酸イオンと結合し硝酸や硫酸を植物体内で作りそこに存在することとなります。野菜が溶ける原因となるのです。
そうした硝酸イオン、硫酸イオンを吸収させないためにカリウムイオン(K+)が必要となります。
ただカリウムイオンとして存在できないため通常は塩化カリウムとして使われます。カリウムイオンによって硫酸イオンや硝酸イオンは硫酸カリウム、硝酸カリウムとなり中和し安定化するわけです。その意味でカリウムイオンが使われるわけです。
しかし、カリウムを固定していた塩素イオン(Cl–)は非常に危険なものです。これもまた水に溶け植物内に流れ込みます。そうして植物体内で水素イオン(H+)と結合し塩酸(HCl)をつくりだします。こんなメカニズムを考えました。
農業の本には書いていないことが他の本には書かれていました。
「微生物が地球をつくった」ポール・G・フォーコウスキー著にはしっかりとこの原理が書かれています。一読をお勧めします。

ポール・G・フォーコウスキー著