おはようございます。太田雄一です。第188回・農業編37「F1種③・雄性不稔(ゆうせいふねん)」

農業編37「F1種③・雄性不稔(ゆうせいふねん)」

掛け合わせてできた雄蕊(おしべ)を持たない黄色の玉ねぎに遠い祖先を持つ普通の玉ねぎを畑のそばに置いておくだけで大量の玉ねぎを作り出すことが可能になります。

こうして「雄性不稔(ゆうせいふねん)」の玉ねぎが完成します。1944年の事です。

この「雄性不稔技術」は次にトウモロコシに移ります。トウモロコシにもやはり「雄性不稔」の品種がありこれを玉ねぎのように増やしていきます。

トウモロコシは風により花粉が飛んでいく風媒体の野菜ですので普通のトウモロコシの近くに置くだけでドンドン増えます。これを世界中に輸出して行き、これによってアメリカは大儲けしていったのです。当然トウモロコシが終わると人参トマトなどに移っていきます。

しかし、こうした一般的にF1種といわれるものは病気に弱く1970年の前半期にはゴマ葉枯れ病という伝染病によってアメリカのトウモロコシはほとんど全滅するなどの被害を受けているのです。

1970年前半に一度F1種のトウモロコシは全滅している

今は病気に強い品種のトウモロコシがF1化しておりこれが世界のスタンダードとなっています。しかし要注意です。この世は多種多様が原則となっており人工的に余り集約すると様々なことが起きます。

貧しい人たちの主食を2種類のジャガイモに絞ったことによりアイルランドで起こったジャガイモ飢饉(1845年~1849年)のように、伝染病によりジャガイモが全滅。その為に100万人が餓死、100万人がアメリカ等へ移住を余儀なくされていったような悲劇となるのです。

伝染病によりジャガイモが全滅。100万人が餓死、100万人がアメリカ等へ移住