おはようございます。太田雄一です。第189回・農業編38「F1種④・自家不和合性(じかふわごうせい)」

農業編38「F1種④・自家不和合性(じかふわごうせい)」

それでは自家不和合性(じかふわごうせい)の技術とは何かについてここで述べておきたいと思います。自家不和合性とはアブラナ科近親相関を避けるために自分の雄蕊(おしべ)の花粉で雌蕊(めしべ)が受粉しないという性質を有しています。

アブラナ科は自分の雄蕊(おしべ)の花粉で雌蕊(めしべ)が受粉しない

しかし、自分のおしべからの花粉を拒絶するという性格は成熟し開花したものだけの性格であり蕾(ツボミ)老花ではそれがないことを日本の技術者は見つけたのです。自分のおしべが出す花粉でめしべが受粉することが解ったのです。

そうなると同じ個体を一度にたくさん作ることができます。こうした個体は母親の遺伝情報を持っていますので、この後は近親相関を避ける性質を持ちます。そこに他の遺伝子の同種(アブラナ科)の花粉を持ってきますと容易に受粉するのです。

この自家不和合性の種は他の花粉のみ受け入れるので必ずF1種が育つ

極端なことを言うと白菜カブのおしべから出る花粉を付けても受粉するのです。これはまるで近親相関、幼児姦淫の世界です。

カブ白菜の畑を交互に作ると自然に多くのカブ白菜の個体を作ることができるのです。しかし、カブは純粋なカブではなく、また、白菜も純粋な白菜ではなくなります。

同じ種から白菜とカブができる個体は一体なんなのか?

我々は何を食べさせられているのでしょう。考えさせられます。