1. はじめに
テレビや雑誌、新聞を見ますと「地球は末期状態にある」といった言葉が氾濫しています。
しかし、地球は末期状態にあるのではなく、その表層の一部が大きく傷ついたにすぎません。
それにより、地球上に住む多くの生命体が存続の危機に陥ったというのが正しいのではないかと思います。そして、その状況は「地球に優しく」などという段階を既に大きくこえているのだと思うのです。
私を含め人類はよくもこんなに早く、うまく地球を汚し、私たちの生活環境を計画的に壊してきたものだと感心してしまいます。
しかし、こんな事をこのまま続けていたら、母なる大地、地球も今まで通り優しくばかりしてはいれません。
今、人類は再生のために英智を結集し、行動を開始しなければ、この地球に生き、発展する権利を永遠に失ってしまうのではないでしようか?
2. 水
地球上の水は約14億km3あると言われています。その多く(約97.5 % )は海水で私たちが生活に使える淡水はその2.5%程より占めていないのです。
その淡水のほとんどは地下水や氷河であり、河川や湖など人間が使えるものは約10万km3ほどよりありません。海水を含めた地球上の全ての水の0.01%にすぎないのです。(日本の水資源07年か)
私たちは生きていくため、この水を日々用いています。世界中で使われる水の量は年間約4000km3 その7割が農業、畜産分野に使用されています。
もちろん地域別にその用途に差がありますので、地域別・用途別を表にします。
今、世界では多くの場所で干ばつが発生し、地下水の枯渇が進んでいます。また、地球温暖化現象によって陸地に降った雨が地下水になりにくく、すぐに海へ流れこんだり、土壌の大規模流失を招くなど、慢性的な水不足が生じているのです。
日本は水が豊かな国であり、かつ多くの技術開発が進んでいるため、余り水の不自由さを感じていません。(一部の地域を除き)しかし60%以上の食料を輸入しているのですから、世界の水間題と無関係ではいられません。
たとえば小麦1.0kg生産するのに水は2トン必要です。牛肉1kgの場合は20.7トン必要になります。世界の水不足は日本の生活に直結する問題でもある訳です。
また、世界の人口は一定的に増加しており、2030年には80億人を超えると言われています。
ますます、農作物の需要が増え、それに伴い水の使用量が増加し、バイオ燃料化がそれに拍車を
かけることになります。
今、地球は温暖化の影響によって、毎日降る雨を有効に利用出来なくなっています。
更には新興国の工業化が進み、多くの水が必要となります。その一部は汚染のため、再利用が困難です。推定では2020年には世界中で年間5000km3の水が、2030年には6000km3の水が必要となるそうです。
3. 工業洗浄
1997年モントリオール議定書の取決めにより(※ODS規制措置) 1.1.1トリクロロエタン、CFC-113の全廃が終了しました。(生産)
夢の洗浄剤であったCFC-113、トリクロロエタンの使用が禁止されることによって日本企業が取った代替策は概ね次図の通りであったと考えられています。
※ ODS (オゾン層破壊物質)
現在、工業洗浄は大きく分けて
塩素系
水系
炭化水素系
代替フロン系
に分類されています。
第一に環境保全を確実に行うことが条件とされています。もちろん、その中には排水条件も含まれています。その第二は安全な洗浄剤、方式である事。そして第三は作業者および周辺住民の健康被害がない事です。この三原則を解決できるものは水洗浄以外ありません。
しかし水洗浄には、いくつかの問題点があり、この間題を解決しない限り現場では使用出来ないのが現状です。
その問題点をまとめます
〔利 点(水洗浄による〕
1 | 引火性がない。 |
2 | 毒性がない。 |
3 | ランニングコストが安い。 |
4 | 物理特性扱いやすい。 |
5 | 溶解力、分散力。有する。 |
〔欠 点(問題点〕
1 | 油の溶解力 不足している。 |
2 | 表面張力が大きく、浸透力が弱い。 |
3 | 乾燥性が悪い。 |
4 | 防錆力がない。 |
5 | リンスを必要とする。 |
6 | 排水処理施設を必要とする。 |
7 | 水中の有機物(油)が微生物に犯される。 |
以上が水洗浄の利点と欠点です。
どんなに環境リスクが低く、安全で、健康被害が少ないと言っても油汚れを除去
出来ないのであれば何の意味もありません。
こうした水の欠点である洗浄力を補うものが、次の物理洗浄方式です。
1 | 加温 (50℃~70℃) |
2 | 超音波 |
3 | 水中噴流 |
4 | マイクロバブル |
しかし、他の洗浄剤と 比べられると、その洗浄力の劣性は否定
4. ECOMIZER洗浄剤(水)
ECOMIZERは水の電気分解により作られたもので「機能水」の範ちゅうに入ります。 1995年からの水系および塩素系、炭化水素系洗浄剤に代替するため開発されたもので、その完成まで、約10年かかっています。 その性状と特徴は次の通りです。
No | 性状及び特徴 | 諸 元 | |
---|---|---|---|
1 | 高い脱油脂能力 | トリクロロエチレン以上の脱油力 | |
2 | 表面張力が低い | 温度20℃で60dyn水80℃(湯)と同レベル | |
3 | 防錆力がある | 防錆剤は不要 | |
4 | 殺菌効果ある | 低水準消毒レベルの殺菌力有 | |
5 | 安全である | OECD化学物質毒性試験の結果「0」 | |
6 | 引火性がない | 水と同レベル | |
7 | 毒性がない | 5 参照 | |
8 | 価格面で適当 | くり返し再利用,リンス,防錆剤削減,排水処理水 廃液処理水削減 | |
9 | 再利用可能 | 循環フィルターによりクローズドシステム可 | |
10 | リンス量削減可 | 1/2 ~ 1/3 | |
11 | 簡易排水処理 | ||
12 | 乾燥性良くない | ||
13 | 環境規制受ない | ||
(1) ECOMIZERの総合評価表
(2) ECOMIZERの脱油脂
(3) ECOMIZERの防錆能力
(4) リンス量の削減
(5) ECOMIZERの安全性
(6) ECOMIZERの再利用効果
(7) ECOMIZERの殺菌効果
試験液の生菌数測定結果
(8) ECOMIZER導入によるメリット
このようにECOMIZERは多くのメリットを有しています。その能力は水洗浄だけではなく
水系全般、塩素系、炭化水素系洗浄剤にも代替できるほどです。
ECOMIZERの有効利用は洗浄分野に安全そして安心をもちこみます。
安全で健康被害を与えず、環境負荷のないこのECOMIZERは水から出来上がっているのです。
5. これからの工業洗浄
世界の水資源が枯渇していく中で、水を汚染しない。くり返し再利用する。そして、水の再利用 のため、余分なエネルギーをかけない事が必要条件となっています。
工業分野も決して例外ではありません。
現状は工業洗浄水の排水規制をクリアーする為、多くのエネルギー、費用をかけています。
このエネルギーを軽減する為に何をすべきか、その第一の選択がECOMIZERの採用だと考えます。 ECOMIZERの導入によって 「有害なものに限らず化学物質は工場外環境へ排出しない。」
「エネルギー効率を良くし、エネルギー消費量の少ない洗浄法を選ぶ」
の2つの条件が明確にクリアーされます。この方式は一般的にクローズドシステムと呼ばれ、それ を補助するのが、当社が有する各種部品です。
(1) クローズドシステム用フィルター
当社が有するオイル除去フィルターの特性試験データです。
本フィルターでキャッチ出来ないものはコアレッサーフィルターで容易に処理が出来ます。
■ ECOMIZERおよびリンス クローズドシステムの概要
(2) マイクロバブル発生装置
この装置はECOMIZERの洗浄能力を高める為のものです。
本装置は当社で開発したものではありませんが、ECOMIZERとの相性も良く、価格的にも対応出来るものです。その仕様、特徴を下に述べます。
■マイクロバブルの特徴
「マイクロバブル」については、微細気泡と訳され、概ね直径が10~500ミクロン、 または1mm以下の気泡を表しています。(1ミクロン=1/1000mm)
気泡径が大きいと浮上速度が早く、水面到 達後は破裂し消滅してしまいますが、マイクロバブルは液中での滞在時間が長く、一定以下のバブルは液中において縮小が始まり、ついには消滅(溶解)してしまいます。
また電気的にマイナスに帯電していると考えられています。
■ マイクロバブル発生装置(MBG)の構造と特徴
<バブル発生方法>
・発生器へ送水すると通水断面積縮小部に負圧が発生し気体を自吸します。
・吸引された期待は縮小部の高速流や発生する過流によって剪断され微細な気泡となり
送水液と混合され噴出します。
<特徴>
・送水することで気体を自吸する → コンプレッサー等が不要。
(自吸不可又は高水深設置の時は強制送気することも可能)
・構造が簡単で管接続ができる。 → 製作が容易なため安価になる。配管の先端、途中に
ネジで取り付けできる。
(ヘルール、フランジ継ぎ手への変更も可能)
・噴流水が得られる。 → 液に攪拌作用が生じ、対象物に圧力水が当てられる。
・気泡径の調整ができる。 → 吸気量を絞ると微少気泡を多く含み分布する。
吸気量が多くなるとミリバブルとなる。
・液体混合も可能。 → 液の吸引も可能で、例えば消毒液、液肥を混液することもできる。
6. 洗浄剤に対する各種規制
最後に1例として塩素系、溶剤(洗浄剤)がどのような規制を受けているか、その実態を以下に示します。一部一般溶剤に対する規制を示します。
8. 導入事例 (代表的な洗浄を下表に示します)
次の通りのメリットが生まれます
1 | 洗浄剤コストが下がる。 |
2 | リンスコストが下がる。(再利用する事により更に下がる。) |
3 | 生産性が向上する。 |
4 | 防錆剤コストが必要なくなる。 |
5 | 排水処理費が低減する。 |
6 | 廃液処理費が低減する。 |
7 | 洗浄水槽内の清掃回数が低減する。 |
そして何よりも環境を傷つけず、作業者、周囲の住民の安全と健康を守る事が 出来るのです。
CFC113(フロン)、1、1、1-トリクロロエタンは夢の洗浄剤でした。
しかしこの夢の洗浄剤が、私たちが生きていくに必要なオゾン層を破壊し、人を傷つ
け命を奪ってきました。
もう絶対に使えないし、使ってはいけないものです。
他の洗浄剤も今、環境、安全、そして健康の面から多くの規制を受けています。
そして、排水規制もますます厳しくなってきています。
以前は排水規制をクリアーすれば問題がなかったものが、今は排水してはいけない
とまで言われています。
今後、条件はますます厳しくはなります。楽になる事は絶対にありません。何故なら
私たちの命がかかっている問題であるからです。
そして洗浄に必要な水も余りある資源ではなくなっています。有限でかつ不足して
いる資源の一つなのです。
水を無駄にせず、そしてくり返し洗浄でき、かつ排水処理にもコストのかからない
システムは早くから望まれていたものです。私たちのECOMIZERはそうした要望の
中から開発されたものです。決して偶然出来上がったものではありません。
今からは、安全で(S)、健康被害がなく(H)、そして環境保全(E)がしっかりしている
商材以外、工業洗浄の分野では利用できません。
今はそんな時代なのです。