おはようございます。太田雄一です。第277回・再始動編70「幸運の玉」

再始動編70「幸運の玉」

そうこうしているうちに2年間などあっという間に過ぎていきました。いつでも試験機を作れるようにと図面を仕上げ、そして時が来るのを待つこととしました。

私は高橋君と一緒に仕事をしているときに彼が私に言ったことを思い出していました。彼は私よりたった1歳しか違わないのにはるかに私より大人でした。色々なことを教わったような気がします。

「太田君、今、自分がたった1個だけ幸運の玉を持っているとしようか。そして、自分の目の前に100匹のアリがいるとしようか。太田君ならどのアリにこの幸運の玉をあげる?」彼の質問でした。

幸運の玉を誰にあげるのか

私はこう答えました。皆の為に一生懸命愚痴も言わず働いているアリがいれば、そのアリに自分は一個しかないこの幸運の玉を上げたいと思う。」と言うと、高橋君は「そうだよね。きっと神様も同じ気持ちだよ。」と言ったのです。

これを聞いて私は涙が出ました。私はこの言葉を今でも忘れてはいません。私にとって「時を待つ」ということはその様なことなのです。

車中で心不全で死にそうになったり、家族と一緒に生活をしたいと思う自分の気持ちとは全く逆の方向に進んでいく自分の人生を達観しているうちに、全てを神様に委ね、自分は全力で愚痴も言わず進んでいこうと考えるようになりました。

時を待つ太田雄一

私はこんなプレゼントを神様からもらったのです。神様とは常に私の心の中にいる戦友でもあり、真の相棒です。

このどん底の2年間私の人生の大きな節目となったように思うのです。