おはようございます。太田雄一です。第51回
「イランとの契約の顛末」
イランで会議が始まると突然議論がぶつかるのです。こちらサイドの美人技術者も顔を赤くして興奮して話しています。原子力庁側も一歩も引きません。
どうなることかと思い見てますと、年長の責任者が機械が組み上がってる様なのでこれを見てから必要なら討論しようとの事でした。何で激論になったのか通訳に聞くと電気分解の原理の問題だと答えてくれました。
原子力庁側は「片側電解」など信じられないとのことでした。機械の組み立てについては彼らに何も説明してもいないのに見よう見まねで約15分ぐらいの時間でくみ上げていました。イラン人はすごい能力だなと改めて思いました。
実際に機械が動き「片側電解」を目にした原子力庁側の技術者は、美人技術者に謝りそこから本論に入りました。最初は内容を隠していたのですが、要するにウラニウム鉱石を電解電子機能水で洗うと安全でよく汚れが落ちる。これを使いたいとのことでした。
原液を5倍に薄めたものが一番よいということでした。会議は2日にわたり、最終的な機械台数を出すと2800台となります。1台1500万で計算すると…。帰りの飛行機では寝れず飛行機の中でずっと計算していました。
帰りは中国ではなく成田まで直接行き、着いた足で経済産業省に向かいました。そこで、大どんでん返しに会うのです。経済産業省の担当役人は私の話を聞きイランからの注文書を見た後課長を連れてきました。その次が次長で、最後に部長が出てきました。2時間ぐらい待たされた後、今日は何とも言えないので明日また来てくれということで時間を指定されました。
次の日定められた時間に行くと課長がでてきて最初から散々怒られました。こんなことをしていると日本で生活出来なくなるよとの事でした。今、私は中国におり中国から輸出できないかと相談するともっと悪質だと言われました。何が悪質なのかと尋ねてもはっきり言わないのです。
これは「日本だけの問題ではない」との言葉を聞いて私は全てを理解しました。また、アメリカかということでした。
私はその時、余程アメリカとは相性が悪いのだなと思いました。そして、色々考えました。
日本で生活をする子供達のことを考えるとここは潔く一歩引こうと思ったのです。時代はいつか変わる、そう信じようと思ったのです。
でもイランは本当に良い国ですよ。親日だし親しみがあります。また、いつか行きたい国の一つです。