おはようございます。太田雄一です。第50回
「イラン原子力庁での出来事」
イランで電解電子機能水を生成した次の日、原子力庁を訪問しました。テヘランの郊外に15メートルの高さの塀がめぐらされているところがあります。広大な土地です。厳しい身体検査の後パスポ-トと携帯電話を取られ装甲車のような特別な車に乗せられ原子力庁に向かいました。
外はほとんど見えません。ただ道がめっぽう広いのと飛行機が駐機しているのがちらっと見え、ここは飛行場ではないかと思いました。それから約10分間車は止まったり走ったりして、やがて目的地に着きました。
車から降ろされ周りを見渡すと2階建ての汚い建物が目の前に建っていました。横には薪が積まれているのです。何だろうと考えていると護衛の革命防衛隊の兵士がペルシャ語で誰かとやり取りをし、その後我々をエレベーターの前に連れていきました。周りにはきれいにカモフラージュされた対空機関砲や装甲車が隠れていました。
エレベーターに載せられ約5分2階建ての建物ですから2階まで5分もかかりません。エレベーターは高速で地下に向かっていたのだと思います。日本人でここまで来た人はいないのではないかと考えていたころ、ようやくエレベーターが目的地に着いたようです。
それから迷路のような廊下を通り会議室につきました。通訳はここが原子力庁の本部であることを伝えてくれました。私と同じぐらいの責任者と若い男女10名ほどの技術者が出てきてすぐに打ち合わせが始まりました。
驚くことに彼らは私の前職を知っていたのです。「貴方は日本の海軍にいた元軍人だからこういう施設は余り驚かないでしょう」と言われ、それこそ腰が抜けるほど驚きました。
イランの諜報機関はすごいなとその時思いました。
私が海上自衛隊にいたのは約14年、最終階級は1等海尉(大尉)です。そんな人間の過去までしっかり調べられるなんて本当に驚きました。