おはようございます。太田雄一です。第44回
「W氏と水素発生装置の開発」
そんなことをしていると、日本からすぐ帰ってきてくれとの連絡が入りました。
水素発生装置の開発依頼が入ったとのことです。
急いで帰国すると、私の古い友人で銀行マンだった男の紹介でW氏が現れ、水素がいかに素晴らしいか熱弁を振るわれました。
水を電気分解し水素ガスが欲しいということですぐに試作機の制作に入りました、過去に内視鏡洗浄装置などの開発を行なっていた為、こんなレベルの開発は朝飯前で三日後には相手の要求を超えるレベルの原理モデルを数台完成させていました。
会社にはチタンやプラチナ加工したチタン材等が豊富にあり全て廃材を利用したものでした。
電気分解の方式がしっかりすれば後はデザイン、それを支える回路の問題です。我々には基盤やマイコンを設計する力はないので、これらは全て外注に出します。専門であればだれでもできる技術です。
ですから水素発生機の開発は三日で終わったということになります。その後W氏は私が日本にいるときには毎日のように会社へ来ます。彼は物知りで特に水素の事については良く知っています。
しかし、何かその知識が浅いのです。本も何冊か書いていますので素人さんを騙すのであれば簡単でしょう。しかし、我々はプロです。
他の事はわからなくても「電気分解」の事は現場を数多くこなしてきています。なんだかんだしているうちに水素発生装置が完成しこれから販売ということとなりました。
マルチ販売はしないという約束の元販売の許可をしたのですが、舌の先が乾かないうちにマルチ販売を始めるのです。(最終的には日本で1年で3500台以上売れ金庫が本当に豊かになりました。)
こんな日本人がいるのだなと思っていると今度は合弁の話を持ちかけてくるのです。
貴方たちの技術力と自分たちの販売力をジョイントすれば世界制覇など簡単だというのです。