おはようございます。太田雄一です。第41回
「中国の農地改革が始まる」
たくさんの地方政府の役人が来るからと言っても何でもすぐ決まり動き出すわけではありません。システムがいるのです。そのためには中央政府の理解と協力が必要なのです。
李博士はすぐ中国科学院の幹部であった彼の奥さんを通じ中国科学院にアプローチをしました。今度はそのアプローチをもらった中国科学院はすぐ中国農業科学院にアプローチを始めました。
そのとき、彼らの説得の助けとなったのがこの元自動車教習所だった圃場なのです。重機が入って土を掘り起こすときから様々な野菜が取れるようになるまで詳細な動画が残っています。そして現在の姿です。実際に生産物を食べさせる事も大切でした。
そして、中国の中央政府の為政者がこの技術で作った野菜を毎日食しているという事実も大きな説得材料になりました。また、この地が北京にあるということも大切な要因でした。
この農法を用い、欧米化された農薬、化学肥料、遺伝子組み換え技術で汚染された中国の農地を変えていこう。その目的の為国が認め、そして、支援する農法にしようというプロジェクトがこの時動き出したのです。
そして、まず第一に決まったのは、いくら自動車教習場の跡地で成功したからと言ってもまだ1年です。慎重に3年程じっくりと様子を見ながらやって行こうということでした。
そのため、この農地内に新たに試験センターが建てられ中国農業科学院の職員が毎日土の状況を観察していく体制が作られました。
中国では日本より早くSNSが完成しています。多くの人民は自分たちが農薬という毒を毎日食わされているという疑念を抱いていたこと。
こうしたことを放置していると人民革命が起こることを中国の為政者は知っていたことから、このプロジェクトは初めから単に面白い興味があるというレベルをはるかに超えていたと言ってよいと思います。そして、ここに実験場を作った李博士や殷氏の先見性のすばらしさに私たちは只々脱帽せざるを得なかったのです。
中国人の悪口はよく聞きます。しかし、これだと思ったときの決断力、スピードの速さは日本人は足元にも及びません。日本人は少し見習うべきではないでしょうか。