おはようございます。太田雄一です。第89回

「電氣醫術叢書(電気医術双書)を読む」

今から81年前の昭和18年に発行された一冊の書物「電氣醫術叢書」を読みました。作者は諏訪方季(すわみちすえ)です。

諏訪方季著「電氣醫術叢書」(昭和18年)

彼は世界で最初に電気を水の中に貯めようと昭和6年から研究を始め、戦前には「シンノオル(SYNNOHL)」という名前で製品化した人です。詳しい経歴も残っておりませんが、この本にはこう書かれております。

「私は電話技師です。新しい機能を持った電話機を設計し数多くの電話装置を市場に出してきました。機械には故障がつきものです。中には故障の原因が分からないものもあります。自分で設計したのにも関わらずわからないのです。それなのに医者は人を作ったわけでもないのになぜ人の故障(病気)が分かるのでしょうか?不思議ですと。」

彼は今から250年前にオランダから日本にもたらされた電気治療器「エレキテル」の正当な継承者でもあります。

彼がいなかったならば、今日「エレキテル」なるものはこの世に存在していないと言い切れると思います。「エレキテル」の開発には、今から90年前に彼によって当時の最先端技術である電気分解技術が導入されました。ここで一気に「エレキテル」の開発は発展することとなったのです。

平賀源内の時代のエレキテル
佐久間象山の電池式電気治療機(エレキテル)

電気を水の中に貯めるなどと言うことは、電気の基本を知っているものならば誰も考え付きません。当時はそれほど突拍子のないものだったのです。

しかし、もし仮に水の中に電気を貯め込むことが出来れば安全性安定性、そして利便性が飛躍的に改善されます。

その可能性に塩野義製薬の社長であった塩野芳彦氏は気が付いたのです。塩野さんだけではなく当時の新日鉄、旭硝子、TDK等も同時に気が付いていました。今から40年前の事だったのです。

それは諏訪方季氏が作った「シンノオル」電子の力により多くの患者の命を救ったということがわかっていたからです。

「シンノオル」は正確には「神農王留」と書きます。中国の農業と医療の神様の名前です。これが留め置かれた水という意味でしょう。