おはようございます。太田雄一です。第46回
「W氏の裁判と偽クレームの話」
この裁判と同じ時期にもう一つの裁判ともう一つの悪事が進んでいました。
もう一つの裁判とは個人ではなく会社が訴えられたもので、会ったことも、見たことも、聞いたこともない大阪の人から680万会社に貸した。お金はいいから特許をよこせというものです。一件は私個人に、もう一件は会社にと分けて裁判をかけてきたのです。
会社には訴状自体が送られてこず、答弁書さえ書くことが出来ませんでした。このような裁判が行われていることさえ知らなかったのです。先に述べているように私達は日本国内で仕事はしていません。機械をコツコツと工場で作り輸出するだけの仕事しかしていないのにです。
こんなことがあるのかと弁護士の先生に聞いたところ、本当にまれだがやり方はあるとの事。法律のことを何も知らない私たちのような人間など赤子の手をひねる程度の事だったのだろうと思います。
最終的にはこれも2年かかりましたが特許も奪われることなく終わりました。裁判官もあきれていました。日本は本当に法治国家なのかなと思わせるような事件でした。

もう一つの悪事とは偽のクレーム、そしてリコールだったのです。
先に述べたW氏に依頼されて作った水素発生装置が3500台ほど日本市場に出ていました。この装置が発火する、爆縮する、煙が出るなどのクレームと同時に工場に戻ってくるのです。工場で新品再生修理を行った後お客様に戻すのですが一台当たり5万円以上かかるのです。
毎日毎日多い時で100万円以上現金で出ていくのです。少し貯まったお金も羽がついているように消えていきます。工場は私たちの工場とW氏の工場に分けて作っていたのですが私たちの工場で作ったものからは1台も不具合が出ません。全てW氏の工場で生産したものからしか不具合が出ないのです。
最初は原因がわからず設計上の原因かと思っていましたが連続加速テストを行った結果、電解質の濃度が2倍、そして、電極のねじが緩んでいることに気が付きました。正常なトルクで締めたもの、正常な電解質濃度の物は全く異常がないのです。
このことを指摘し改善させるとすぐにクレームはやみましたが、その間に金庫に入っていた数千万円のお金があっという間に消えてしまっていました。簡単に入ったお金は簡単に消えていくんだなとその時思いました。

水素発生装置を購入していただいていたお客様には申し訳ないのですが、この装置はあまり効果がないのです。実際に良くなっていく人は100人に1人程度ではなかったかと思います。