おはようございます。太田雄一です。第10回

「手書きの企画書」

こんな生活をしていたらまた体をこわしてしまう。早くこんな生活から抜け出そう。そして普通の生活に戻ろうと真剣に考えました。

しかし、この技術を何とかしなければという気持ちも強く残っており、このアイデアをできるだけ早く形にしようと少し心に焦りが出てきました。テストをし確実なものにするのでも最低1000万円以上必要になります。そのため何とかこの額のお金を手にしたいと考えるようになりました。当時私の仕事場は100%病院内、老人保健施設(老健)内でした。そのため、病院内の内情が普通の人よりよく分かったのです。

当時医療費を削減するため医療改革が叫ばれ、中堅病院の整理統合、病院に対する国の補助の削減の嵐が始まったところでした。私は病院ではなく病院に併設されている老健に目を付け一つの企画案を作りました。老健内の介護浴槽を新しくすることで国へ戻す補助金の額を少なくするという企画でした。

しかし、現実はホームレスが手書きで書いた企画書等誰も見向きもしなかったのです。これによって先に述べたように普通の生活をし開発を継続する為の原資を得ようとする試みはとん挫しようとしたのです。

そんな中、友人の伝手で東京青山にあるコンサルタント会社から一度話が聞きたいとの連絡を受け、勇んでその事務所に向かいました。その会社は青山一丁目にある会社で、きれいで家賃の高そうなオフィスビルに入っていました。そこの社長は前もって私の書いた企画案を読んでいたらしく、いくつかの質問をしたのちその場で採用してもらいました。早い決断に驚いていた時、目の前に300万円のお金が用意され準備金だといわれました。

企画書が採用されたことが実は…

私はそれで有頂天となり、その300万円のほとんどを家内に送ってしまいました。苦労を掛けた妻に少しでも恩返しがしたいという気持ちからでした。このビジネスで稼いでやろうと思っていたので300万ぐらいどうでもなると考えていたのですが、そこには実際大きな罠が隠れていたのです。