モンゴルウランバートル市の大気汚染状況について

ウランバートル市の人口は人口の一極集中により近年急激に増加し、現在約150万人まで増加しています。(モンゴルの人口は約320万人)遊牧地から流入した遊牧民は市の北、西側の周辺丘陵にゲル集落を作り、定住しています。
2018年の統計では人口の約60%以上がゲル住民であり、約2万にも及ぶゲルが存在すると言われています。
ゲル地区には電気が通っているのですが、温水パイプによる暖房インフラが供給されていない為、各ゲルは石炭ストーブを使用しています。使用している石炭についても生石炭が主であり多くのSO2ガスが放出されています。
ウランバートル市の位置としては盆地にあり、上空に形成される大気逆転層によって大気が滞留し、SO2 (有毒ガス成分)は停滞し住民の健康に深刻な被害を及ぼしている状況です。

冬のウランバートル
(排煙により山の陵線全く見えない)
夏のウランバートル
(空気が澄みわたりはっきり山の陵線が見える。)

イギリス ロンドンで発生したロンドンスモッグ
現在のウランバートルの状況は1952年に発生したロンドンスモッグとよく似ています。
当時ロンドンでは12月の10日間上空で高気圧が発生し冷たい霧がロンドンを覆った結果、気温が低下し通常より多くの暖房用石炭が炊かれました。石炭ストーブや火力発電所からの亜硫酸ガス(二酸化硫黄SO2)が滞留し、それが濃縮されpH2.0の硫酸霧(硫霧)となって漂い、その結果5日間で4000人以上の人が亡くなりました。その後数週間で8000人以上の人が死亡し、合計12,000人以上の人が死亡するという公害となりました。
イギリスでは石炭から石油に熱源が変更され、こうした事態は回避されています。

ウランバートルの現状

ウランバートルの冬季のPM1.0、PM2.5、SO2、NOxの平均値をモンゴル国立科学技術大学
(以下MUSTという)と日本の四日市大学が次の様に出しています。

表1 ウランバートル冬季のPM1.0、PM2.5、SO2、NOxの平均値表

更にウランバートル大気質庁が調査した大気汚染発生源を次表に示します。

表2 ウランバートル大気汚染発生源表

ウランバートルは世界第2位の大気汚染都市です。
そして、この市では肺病死亡の34%、肺、心臓死亡の24%そして全死亡者の8.2%が大気汚染に関連していると言われています。
その為、それに対応する対応として
(1) 生石炭の使用削減
(2) 完全燃焼無煙型ストーブの普及
が進められています。しかし、完全燃焼型ストーブは効果がないのではないかと考えられ、現状補助金の対象から外れています。

日本の四日市市(1960年)のデータと比較してみましても四日市市ではSO2が年平均
80μg/m3以上あり気管支喘息年間受診率が全体の30%以上を示していました。
しかし、ウランバートルではこの数字が500μg/m3を示しており、四日市公害以上の悪い状況であると言えるでしょう。
また、日本の参議院環境安全委員会がまとめたPM2.5汚染物質分析資料を図-1に示します。

SO2の無害化について

E&Bを用いて脱硫、脱硝をする技術は現在多くの分野で使われています。
たとえば船舶用が代表的と言えるでしょう。
私たちはこの方法を用いてモンゴル、ウランバートル市で実証試験を行いました。
この試験にはMUSTが全面的に協力し、次に示すようなテストを行いました。

その結果次の様な試験データを得る事が出来ました。

0.4ppm(mg/kg)は1100μg/m3にあたります。

この結果は次の通りまとめる事が出来ると思います。

ECOMIZERはSO2を完全に無害化出来るという事と思います。
(1100μg/m3 → 0μg/m3
ほとんど瞬間的に0にしました。
1100μg/m3 はウランバートルの平均値の2倍以上あり、ゲルからは常時このようなSO2
発生していると考えられます。

5.無害化プロセスについて

無害化のプロセスは次の通りです。

SO2 + H2O → H2SO3・・・SO2(二酸化イオウ)が水と結合して亜硫酸(H2SO3)をつくる。気体 → 液体

H2SO3 +1/2 O2 → H2SO4・・・亜硫酸が酸化され硫酸(H2SO4)をつくる。

H2SO4 + 2KOH → K2SO4 + 2H2O ECOMIZERの成分KOHと反応する。硫酸カリウムをつくり安定する。

H2SO3 + 2KOH → K2SO3 + 2H2O ECOMIZERの成分KOHと反応し微量の亜硫酸カリウムをつくり安定する。
硫酸カリウム(K2SO4)亜硫酸カリウム(K2SO3)は無害の塩です。

参考までにNO2の処理について説明します。

ここでは余り大きくとらえられていませんが、NO2も環境には余り良いとは言えないものです。
NO2はECOMIZERでは50%程度より削減出来ませんでしたが、Biomizerでは100%削減可能です。

その理論式を次に示します。
2NO + Cl2 ⇆ 2NOCl(塩化ニトロシル)
NOCl + H2O = HNO2 + HCl
HNO2 + HClO = HNO3 + HCl
塩化ニトロシル(NOCl)が水に溶け亜硝酸(HNO2)をつくります。
亜硝酸(HNO2)とBiomizerが持っているHClO(次亜塩素酸)が結合し、HNO3硝酸となる事で
NO2は除去されるという考え方です。

6. 対策について

対策としてはゲルからの排煙と管理規制しないといけないと私達は考えました。
各種テストの結果ECOMIZERを用いるとSO2は一瞬で無害化される事がわかっています。
0.4ppm程度のSO2ですので、50倍に希釈されたECOMIZERで十分な結果が出ます。
そしてその排煙をコントロールする為、次のような装置を考えつきました。
安価だし管理も簡単であると考えたからです。

図-2 実験装置の概要